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曽野綾子さんのエッセイから

作家であられる曽野綾子さんのエッセイの抜粋を集めた「人づきあい」という本を読んでいたら、「これ、これ、これなんです!」というところを見つけましたので紹介したいと思います。

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まず火を消すのだ。まず人を助けるのだ。それから後に起きた問題は後から解決する。
これが秀才にはできないのだ。すべて起こり得るあらゆる問題を考えているから、何も行動を起こせない。秀才とは、私がいつも皮肉をこめて言うように「できない理由を見つけることがうまい人」なのである。

「人づきあい」101頁  曽野綾子著 イースト・プレス社

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これぞまさしく今のドイツではないですか! 

難民が短期間に百万人以上やってきた。現在でも毎日2000人以上がドイツに来る。他の国々は知らん顔。これからこんなに大勢の難民をどうしたらいいのか? ドイツ人たちはかなり当惑しています。それでもドイツ人たちはボランティアで彼らの世話をする。ちなみに、ドイツでも政治家たちは「秀才」だからなんでしょうか、難民たちが速やかにドイツで仕事ができるよう工面することができないでいます。

なぜ、私がここでこの文章を例に挙げたかというと、ドイツ人は飼い主を失ったペットに対して同じ思想で対処していると思えるからなのです。この頁にメモをはさんだのは、難民の問題の起きるずっと前です。今日読み返していたら、「ドイツで殺処分がない理由」と書いたメモが、この頁からはらりと落ちました!

つまり、まず犬を助ける。その後に起きた問題は後で解決する。

起き得る問題をすべて、あらかじめ解決した後に殺処分施設のガス室をなくす、なんてことを日本の政治家の人たちが考えているとしたら、あと50年、いや、100年たっても日本からガス室での窒息死による殺処分は消えないのではないでしょうか。

ペットショップの掲示板から

私の住む人口25万人ほどの小さな都市にも大型ペットショップは何軒もあります。
でも安心してください。子犬や子猫を売るペットショップではありません。フード、首輪やハーネス、おもちゃ、クッションや足の弱った犬を運ぶためのリュックサックなどを売っているのです。こんなにたくさん店があって、よく潰れないなあと感心しています。
高級店もあって、手作りの細かい細工を施した首輪や、見るからに上等の生地を使ったシックな高級クッションや、使うのがもったいないような食器が上品に並べられています。

郊外の大型ペットショップの掲示板には、「新しいファミリーを探しています」の写真付き広告がぎっしり貼ってあります。動物保護団体が保護している犬たち。東ヨーロッパや、スペインや、トルコなどで保護してドイツに連れてきた犬もいます。ドイツの犬は実に国際的です。

先週は近くの食料品スーパーマーケットでウクライナから連れて来られた、すごくやさしい目をしたシェパード系ミックス犬の広告を見ました。早く新しい飼い主が見つかることを祈っています。ドイツに連れて来られた犬はほぼ100%の確率で新しい飼い主を見つかるのだそうです。日本もそうならないかなあ、と願っているのですが。

ペットショップの子犬や子猫

ある知人から、「ぼくの弟はペットショップのオーナーなんだよ」と言われ、ちょっと、いや、かなり衝撃を受けました。弟さんにも一度会ったことがありますが、物腰の柔らかな、とってもやさしそうな三十代です。大成功しているビジネスマンと聞いています。

「ペットを飼ったことないのにね」と知人は弟さんの「奇妙な商売」を笑っていました。

「飼ったことがないからできるんだ」と心の中でつぶやいた私。言葉で言おうとしたけど、ちょうど他の人たちも一緒にディナーを楽しんでいる席だったので言いませんでした。

「どんなところで繁殖した犬猫ですか?」
「繁殖の現場は把握しているのですか?」
「いつも完売、なんでしょうか?」 
「売れ残りの子犬子猫はどうしているのですか?」
今度、弟さんに直接会って聞いてみようと思っています。

繁殖に使えなくなった犬はどうなる?

ジャックラッセルテリアとシーズーのミックス犬「マイカ」は、ドイツの悪徳繁殖屋のもとで5年の間、小犬を産ませられ続け、ようやく自由の身になり、今、最愛のママと朝から晩まで一緒です。

流行の犬を増やしては売る、お金儲け目的の繁殖屋(繁殖家ではありません、念のため)はドイツにもいるわけですが、お金儲けに使えなくなった犬は彼らにとって「不要犬」です。

愛護団体はそんな犬たちを無条件で引き取り、避妊手術をした上で、新しい家族を探します。愛護団体は繁殖屋の人たちを責めたり、実情を暴露したりしません。そんなことすれば、哀れな犬たちが今度はどんな目にあうかわかりません。
動物虐待が全くない社会が理想ですが、私たちは現実をもしっかり見据えた上で動物たちを救助しないとならないのです。繁殖屋が要らなくなった犬たちを自分たちで処分するようなことだけは避けさせねばならない。それには無条件で、そして無料で引き取る愛護団体の存在が必要です。

「マイカ」は始め誰も信頼せず、始終オドオドしていて、絶えず逃げ出すスキをうかがっているような子で、おもちゃで遊ぶこともなく、ボールの遊び方も知らず、この先一体どうなることやらと心配でしたが、今ではヘルパーさんであるママと一緒に毎日、介護施設に通って老人たちのアイドルになっています。

ホームレスの人の犬が病気になったら?

背中には大きなリュック、両手にバッグ、分厚い上着に頑丈そうなブーツ。それほど寒くないときは道に座って歩行者から小銭を集める人もいます。歩行者天国で時折見かけるホームレスの人です。そして、中には犬を連れたホームレスの人も。大体が中高年の、深いしわの奥に複雑な事情ありそうな雰囲気です。

中には若い青年が小犬を連れて座っていることもありますが、そういう人は「職業は物乞い」であって、小犬は東欧の斡旋業者から借りているか譲り受けているかで、立派なニセモノですから、お金は絶対にあげないこと。ドイツ人は犬連れに弱いのですぐにお金をあげてしまう。こういった「犬を利用した悪徳物乞いをサポートしないで」と新聞でも時々注意を促しています。

さてホームレスの、人間のほうはどうにかなるとしても(食べ物もいくらかのお金も、もらえます。宿泊する場所もあるし、病院にも行けます)、では犬のほうは?と気になりますね。犬が病気になったら? 獣医に払うお金は? 犬の食べ物は?

ご心配なく。例えば、私の住む街ではホームレスの人の犬は無料で診てもらえるところがあります。予防注射も、もちろん無料でしてくれます。ドッグフードも配給されます。

犬だけがホームレスの人たちの家族、或いは親友、心のよりどころであるケースがあります。そのことを配慮した結果なのです。

悪徳繁殖屋を減らすには?

悪徳繁殖屋に流行犬の繁殖をあきらめさせるにはどうしたらいいのでしょうか?

①ペットショップや繁殖屋から買わない。
②保健所から引き取る。


この2つに尽きます。
つまり、これから犬を飼う人たち次第なのです。
買う人が減ると、繁殖でお金儲けをする意味がなくなります。流行の犬を買う人がいる限り、悪徳繁殖屋は犬を増やします。

人間のマイナンバーなんかではなく、ペットショップや繁殖する人は、犬のマイナンバーなしで犬を売ることができない制度を作ったらどうでしょう。つまりマイクロチップの義務化です。犬たちがどこで繁殖されたか、或いはどのような経路で店のショーケースに行き着いたかのフォローができるにしたらどうでしょう。
マイクロチップはドイツでは義務化されています。マイナンバー制度は犬や猫にこそ導入してほしいものです。

しかし、何と言っても重要なのは、私たちの意識の変化。

殺される運命の犬を家族に迎え入れる。

それが日本の常識になったとき、「動物愛護は大きく前進した」と言えるのだと思います。

悪徳繁殖屋はゼロにはなりません。買う人がいる限り、どの国にもいるものだし、将来も現れるでしょうが(動物愛護がある程度徹底しているはずのドイツにだっているんですから!)、それでも私たちの意識と行動で、その数をぐんと減らすことは可能だと信じています。

マイナンバーが必要なのは人ではなくて犬!

マイナンバーの導入、日本は一体どうなってるんでしょう? 新しい制度について、国民に意見を聞くこともせず、いきなり導入? 国民にアンケートを取ったらいいのに。導入に反対の人のほうが多いと思いますよ。大体、一体どんな利点があるのかさっぱりわかりません。

マイナンバーのような制度が必要なのは、自分の名前も住所も言えない動物たちです。

虐待されても、悪徳繁殖屋に産めよ増やせよ式で子犬を産まされても、何も言うことができない。不要になったから、と保健所で殺処分してもらうために連れて行かれても、山に捨てられても、犬や猫たちは何も言えない。

飼い主の情報の詰まったチップ(つまりマイナンバーの役目!)を犬に埋め込むのは多くの動物先進国ではもはや常識であり、義務です。

犬を救助して下さった自衛隊の方々へ

災害時に自衛隊の方々が犬を救助したということを批判している人がいることを知り、唖然としました。

自衛隊の方々に申し上げます。私は犬の命を救ってくれたみなさまに心から感謝しています。

犬の命をもひとつの命として見て下さったこと。それは海より深く天より高い尊い行いであると思います。

ありがとうございます。犬たちに代わって心からお礼を申し上げます。そして、飼い主の方々、どうぞ周囲の非難に負けないでください。

救われた犬たち

インターネットのアメリカのニュースで、殺処分寸前の犬2頭の写真を見てしまったのは半年前。2頭は恐怖で抱き合っていました。その姿があまりにもあわれで、私はそのニュースをクリックするたびに、犬たちの写真を見てしまうのが苦しくてなりませんでした。せめて苦しむ時間が少なく、殺処分が速やかに終わったことを祈るしかありません。

同時に、もしかしたら写真を見た誰かが、もし間に合うのなら、と殺処分センターに連絡して救うことができたのではないか、とも思い、そうであったことも祈っていました。

半年後の先日、私はあの犬たちが実際は死なないですんだことを知り、ようやく心のもやもやが取れたのでした。恐怖で抱き合う2頭の犬の写真が、やさしい誰かの目に止まり、引き取られたそうなのです!

私は嬉しくて、引き取った人に感謝の気持ちを送っています。

こんなふうに、収容された犬たちを多くの人に紹介すれば、引き取られる可能性は大きくなります。

日本でもテレビや新聞が協力してくれたらどんなにいいでしょうか。ドイツでは、テレビで紹介しています。

みなさまも、ペットショップや安易に繁殖している人から買うのではなく、殺処分される運命の犬をどうか家族に迎え入れてください。

鉄格子のむこうから私を見つめていた

その哀れな犬を私はどうしてもあきらめきれなかった。ギリシャの殺処分所で死を待つだけの8歳の小さな犬。

ドイツのある愛護団体から、「この犬はどうですか」と連絡が入ったとき、友人は飼う犬を別に決めた後だったのだ。

私たちはすぐにメールを書いた。寄付をしますからその犬を救ってください、と頼んだ。
翌日返事が来た。ギリシャのその殺処分所では引き取り手が決まっていなければ出すことはできないのです、と。

私はガックリ来て、夜なかなか寝付けなかった。友人も同じことを言った。私たちはこう書いた。お金は必要なだけ、どれだけでも出します、と。もう春の服も靴も要らない、あの絶望の目を幸福の光で満たすことさえできたら何も要らない。

翌日返事が来た。あの犬を救うことができた、と。私たちは、去勢費用、獣医による検査費用、チップ費用、輸送費を申し出ている。